雪組公演「ルパン三世-王妃の首飾りを追え- / ファンシー・ガイ」公演感想レポート

雪組公演「ルパン三世-王妃の首飾りを追え- / ファンシー・ガイ」の公演レポートをお届けします。お正月公演にふさわしい華やかな舞台で1/25(月)の公演を見た際の感想です。

宝塚歌劇雪組公演「ルパン三世-王妃の首飾りを追え- / ファンシー・ガイ」の公演レポートをお届けします。

今回の作品は、ルパン三世と宝塚のコラボレーションとなるオリジナルストーリー。生徒の魅力をファン目線で魅せることのうまい小柳奈穂子先生の脚本です。

「王妃の首飾り」を狙うルパン一味(と銭形警部)が不思議な力に導かれ、革命の気運高まるフランスにタイムスリップ。そこでマリーアントワネットと出会い・・・というストーリー。そして、新生雪組の魅力の詰まったショーの二本立て。お正月公演にふさわしい華やかな舞台です。1/25(月)の公演を見た際の感想です。

そこにいたのはルパン三世そのもの

まず、幕開けから引き込まれました。たくさんの警備員、そこに現れる「とっつぁん」銭形警部(夢乃聖夏)。あれ?ルパンはどこだ?そう思っていると、何やらあやしい警備員が。まだ宝塚版ルパンの声も姿もわかっていない筈なのに、確かに変装したルパン一味の姿が分かるんです。あの特徴的な赤ジャケットも、次元大介(彩風咲奈)の加えたばこも封印された状態でそれとわかる仕草に、タカラジェンヌの本気を見ました。

そこからおなじみのルパン三世のテーマに沿って一味が登場!大湖せしるさん演じる峰不二子ちゃんの色っぽさは下手したら原作以上。口数は少ないものの、存在感抜群の彩凪翔演じる石川五エ門。ルパン一味が集合した時点でのしっくり感に、開始五分にしてこの舞台の成功を感じることができました

全編にわたって、ルパン一味が原作をとても研究していることが伝わる役作り。単におなじみの台詞やおなじみのコスチュームで似せただけではなく、登場人物一人ひとりに血が通っていて、まさにアニメから抜け出てきたようなルパン一味でした。この作品で初めて宝塚を知った人にとっては、いい意味で宝塚に対するイメージを一新できたのではないでしょうか。

101年目の宝塚に相応しい伝統と革新のフランス革命

そして今回、ルパン三世を宝塚で演じるということ以上に革新的だったのは、この作品で示された新しいマリーアントワネット像です。ベルサイユのばらに代表されるフェルゼンとの会いに行きた悲劇の王妃ではなく、笑い上戸で朗らかな、等身大のマリー・アントワネット。「マリ~ちゃ~ん」と呼びかけるルパンに、鈴の音を転がすような可愛らしい笑い声を上げるアントワネットのキラキラした少女の瞳。マリー・アントワネットは宝塚娘役にとっても憧れの役。見るファンとしても、お決まりの「型」を意識してしまう役でもあります。それを軽やかに越えていくマリー像に、私は宝塚の未来を見ました。

そしてこの作品の中で一番胸にしみたのは、咲妃みゆの酔っぱらった演技でした。「宝塚の北島マヤ」と呼ばれるだけあって、迫真の演技を見せるほろ酔いマリーは「未来から来たなら、教えて。わたしの未来はどうなっているの」と聞きます。ルパンは、マリーを悲しませまいと嘘をつきます。もちろん、史実では彼女は死刑に。この切ないやりとりに、客席は涙々。特にこの場面が胸にくるのは、何度もマリー・アントワネットの死を見ている宝塚ファンはならではかもしれません。

ルパン一味はお宝を手に入れ、8年後にタイムスリップして処刑されるマリー・アントワネットを救おうとします。タイムパラドックスを起こさずに、どう彼女を救うのか?いよいよ舞台は大詰めに。そしてこの場面がまた秀逸。一人タイムスリップから取り残された銭形警部が歌う銭形のマーチに乗せて、その8年間が描かれます。演出もさることながら、この一場面を作り上げた夢乃聖夏に拍手を送りたい。この公演で退団する彼女にとっても、最高の餞となる場面です。

そしていよいよマリー・アントワネットの処刑日になります。果たしてルパンはマリーの命を盗めるのか。そして現代に戻ることができるのか。その結末はぜひ自分の目で確かめて下さい。ルパン三世の舞台化は、5年ほど前から企画はあったそうです。組、トップスターなど様々な条件はある中で、今の雪組でなければ成し得なかった演目だと強く思いました。そして、100年の伝統を守り続け、101年目の革新へと向かう宝塚だからこそできた作品だと思います。

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