エリザベートの素顔に迫る 美容法や食生活は?

宝塚歌劇団にとって代表作とも言えるエリザベート ガラコンサートが2016年から2017年にかけて上演されます。1996年の初演から20周年の記念すべき舞台となります。その中心人物のエリザベートについてこれまであまり語られてこなかった側面にスポットを当ててみたいと思います。

【ガラコンサートなどで描かれるエリザベートの運命】

オーストリア帝国の皇妃として名高いエリザベートの生涯についてはガラコンサートのみならず、他の舞台や数多くのメディアでも取り上げられ、様々な角度から論評が繰り返されてきました。ウィーンでの初演に於けるストーリーに対して日本での宝塚の舞台用にトートという死の抽象概念を擬人化した存在がエリザベートの相手役として加えられた背景、各々の配役の変遷、Wキャストの意味と妙味、宝塚版と東宝版の違い、舞台で使われる楽曲等々数え上げればキリがありません。

そこで描かれてきたエリザベートとは一見幸福に満たされていそうでも実は数奇な運命に翻弄され、精神を病み、常に死と隣り合わせの心を持って生き続けながら非業の最期を遂げるというものでした。宮廷での窮屈な生活や周囲の目、子どもへの授乳も、気ままに面会することも叶わず徐々に精神が蝕まれてゆく様子、後にその子を見殺しにしてしまうことへの後悔と自身の精神の崩壊の局面には多くのスポットライトが当てられてきました。

一方でエリザベートは異常とも思える過激なダイエットを続けてきた女性でした。生まれ育ったヴィッテルスバッハ家の血筋による極めて高い美意識とハプスブルグ家での過酷な生活環境が彼女を過激な減量に走らせたのかも知れません。そんなエリザベートの普段の食生活とは一体どんなものだったのでしょうか。その「食」の原点に焦点を絞って解明してゆきましょう。

【エリザベートが嫁いだハプスブルク家とそこでの彼女】

エリザベートの嫁ぎ先のハプスブルク家とはどんなところだったのでしょうか。オーストリア帝国の君主として君臨した名家ですが、ハプスブルク家の宮廷料理の基礎を築いたのはマリー・アントワネットを生んだその母、マリア・テレジアでした。

当時高価であった砂糖や乳製品を贅沢に使って豪華絢爛なスウィーツの数々を生み出したのもこの宮廷で、オーストリアの伝統的スウィーツとして今も残されています。コーンスターチを用いたサヴォイのビスキュイ、カスタードクリーム入りの揚げドーナツのファッシング・クラプフェン、デニッシュのようなパンであるゴラーチェンなどが代表的な菓子と言えるでしょう。

エリザベートが生活したのはそれから100年近く経ってからのことですが、当時の宮廷での朝食はたいてい朝9時頃でした。新鮮なミルク、卵、ハムが並んでいました。昼食には少量の肉と野菜、シャーベットなどを食していたようです。過酷なダイエットを続けていたエリザベートですが、シャーベットは大好物でした。

【普通と違うエリザベートの主食】

ハプスブルク家に於けるエリザベートの食事はまったく異質のものでした。生家であるヴィッテルスバッハ家の遺伝子として美に対する執着が異常に強く、太ることに対する恐怖心は若い頃からのものだったようです。乳清や子牛の生肉の肉ジュース、果物のジュースなどのダイエット食を大切にしていました。

そんなエリザベートの健康を支えてくれた栄養源は乳製品と卵です。ただ宮廷の御用商人が届けるこれらの食材に満足できなくなった彼女は庭園内に宮廷酪農所を作らせ新鮮な乳製品を届けさせるようになるのです。ダイエット食として重宝した乳清やバター、生クリーム、チーズなどの品々がエリザベートの食卓に並んだのです。

ただガラコンサートでは演者の方たちはほとんど立った状態で動きのあるステージが展開されますので、ハプスブルク家の宮廷料理やエリザベートの主食の内容までステージ上で表現するのは難しいと思います。ここは予備知識として捉えておくことでガラコンサートへの興味が増すことを期待しましょう。

【ダイエットしながらもエリザベートの好んだデザート】

過酷なダイエットを続ければ続けるほどエリザベートの心には抑えがたい甘いものへの渇望の気持ちが芽生えます。ダイエットとスウィーツの間で大きく揺れ動くのですが、結局死ぬ直前までスウィーツへの思いは断ち切れませんでした。シャーベットやチョコレート、クッキーやケーキなど好きなスウィーツの種類は驚くほど多かったといいます。このことはヨーロッパ中に広まっており、国外の有名菓子店からも献上品が続々と届けられていました。

ウィーンの宮廷菓子職人たちも負けじと新しいケーキやクッキーの創作に挑みます。タンパク質の豊富なトプフェンクーヘン、砂糖をまぶしたザント・クーヘン、ハプスブルク家の一族に最も好まれたグーゲル・フプフ、チーズをまぶしたスティック状のケーゼ・シュタンゲル、三日月形のキプフェルンなどが作られていました。ただ脂肪と糖分を気にするエリザベートが好んで食べていたのは女性菓子職人が作る低カロリースウィーツでした。

【飲み物とシシーコーヒー】

エリザベートの命を支えたものは何といってもミルクです。宮廷に酪農所を作らせて乳清をダイエット目的で摂取していたほどですから、ミルクを重要な飲み物としていたのも当然です。ミルク以外に愛飲していたものは意外にもアルコール類です。食事の際にはモーゼルやフランケンといったドイツワインを飲んでいました。マジョルカやマディラ、シャンパンなども好物でした。シャンパンは日常的に口にしていたとのこと。人生最後の晩餐の時に飲んだのもシャンパンです。

ワイン以外ではシェリー酒やキュラソーなどのリキュール、ビールはバイエルンやチェコのピルゼンなどがお好みでした。また胃腸の消化を促すためにミネラルウォーターは大量に飲んでいました。バート・キッシンゲンの鉱泉水やニーダーゼルターなどヨーロッパの貴族の間で体に良いとされていたミネラルウォーター類も愛飲していたことが知られています。特にエリザベートは水へのこだわりが強く、良質の水を求めてウィーンの森を訪れています。湧き水をコーヒー用にシェーンブルン宮殿まで運ばせたこともあるほどです。

もう一つエリザベートがよく飲んでいたことで知られるのはシシーコーヒーと名付けられたコーヒーです。アンズシロップに生クリームを混ぜ、シナモンを振りかけたコーヒーで、エリザベートの居城であったブダペストのゲデレー宮殿内のカフェでは今でも飲むことができます。さすがにガラコンサートでは飲み物の好みまで表現できないかも知れませんが、エリザベートの生活を知る上では興味深い話です。

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(出典:いらすとやより)

普通、食生活にミステリアスという表現は馴染まないかも知れませんが、ストイックなまでに生涯ダイエットに取り組んだエリザベートが好んだ食事や飲み物にはミステリアスという表現がぴったり当てはまるようです。エリザベート ガラコンサートにまつわるまったく別の切り口として捉えておくと、舞台への興味も一段とアップするのではないでしょうか。

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